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 『へいわ屋漫筆』 第9回 雑感
   (「俺は、君のためにこそ死にに行く」)

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第9回PDF版 :

   読者の皆さん、こんにちは。日差しも初夏めいてきました。
  年中行事ではないけど、平和イベントも多くなってきていますね。
  一回々を大切に参加され、またご自身の健康にも留意頂ければ
  と思います。

   さて、ひと月ほど前、新聞を読んでいたら眼に飛び込んできた
  映画の広告がありました。戦闘機の前に数人の日本青年兵たちが、
  優しそうな婦人を囲んで笑っています。兵の一人は子犬を抱いて。
  あー、また特攻の映画か。この構図見た事あるな。知覧基地だったな。
  何々、東京都知事が「総指揮」とな。この人の好きそうな言い回しやな―。
  自分の指す方向に、民草が一糸乱れぬ行動でなびくのが
  お好みなんでしょうな。そう、『俺は、君のためにこそ死ににいく』の
  宣伝です。このタイトルが、へいわ屋店主の頭から一ヶ月間離れません。
  映画の内容に関してはまだ見ていないので何も言えませんが、
  タイトルになんでこんなに引っかかるのだろう。ふとした折に考える事を
  繰り返すうちに、色々見えてきました。

   まず「俺は〜死ににいく」と、確信的、意思的に「死に」に「いく」ことを
  断言した映画のタイトルは珍しいのではないでしょうか。
  生命の、あるいは創造性の永遠の沈黙である「死」。ここに意気込んで
  むかうらしい様子を描く映画だということを、このタイトルから予想し、
  店主は空恐ろしく予感するのでしょう。
  侠気や情がいかに溢れていようとも、その時点で思考停止している、
  危険な雰囲気が漂っていると思ったのです。
  推測するに、タイトルの「俺」は兵士で「君」はその愛する人なのでしょう。
  「俺」は「君」を大好きで大切で、守りたいのです。
  でも、もの凄い困難な状況下だから、「俺」はもう死ななきゃ「君」を
  守れない環境になっちゃってるのです。「俺」だって死ぬことは嫌だ。
  でも仕方なく「君のためにこそ!…」と納得できる理由を見つけて
  飛び立つのです。「君」の側もその「俺」の気持ちを汲み取り、「俺」へ
  万感の想いを馳せて悲しみを断ち切っているのです。

   でも、ほんとに無念は、悲しみは断ち切れた?無理ですよね。ずっと
  悲しいはずです。大切な人と二度と会えなくなって、それでも嬉しかった
  人なんていないでしょう。この状況ってとても不幸なことではないですか?
  なんでそんな困難な異常事態に陥ったのでしょう?
  …それは戦争だったから!

   実はへいわ屋店主は太平洋戦争における「特別攻撃隊」(いわゆる
  特攻隊)の存在に非常に関心があります。理由はいくつもありますが、
  やはりその隊員たちと店主の歳は近いから、というのが根本的な理由です。
  人生の経験値や感受性が、自分とそう違わなかったであろう彼ら。
  80年ほど生まれる時期がずれていたから、彼らは死に、自分は
  生きている。時系列を無視した言い方で、論理的におかしいが
  「貴方たちを生き延びさせられなくてごめんなさい」とも、心のどこかで思い、
  会ったこともない彼らに語りかけています。

  彼らは「自分以外に誰がやる?健康な若い肉体をもち、また学問を身に
  つけた自分の、それは責任だ。」と考えたのだと思われます。葛藤しつつも、
  克己し決断するその姿勢やプライドは、店主も尊敬しているのです。
  これは否めない。ただし、その行く末が、自分や他者の「死」であっては
  決してならないのです。若者の意気や力は創造的なことにこそ使われる
  べきだと思います。国家や権力が馬鹿な国策や力ずくで、その方向を
  「死」へと捻じ曲げることを許したくはないのです。

  「俺」よ。よく聞いて欲しい。死んではいけない。
  かけがえのない「君」がいるなら、なおさら。
  「君のため」と「死ぬ」はつながれてはいけないし、「こそ」なんて言葉で
  飾られてはいけない。「俺は死ににいく」なんて状態を未然に防ごう。
  それこそ「俺」が「君のためにこそ」するべき第一等のことなんだ!

  これが店主の持論です。当たり前の事だけれども。
 

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構成:【PeaceMedia】/(C)へいわ屋 2007年5月記 :





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