PeaceMedia
フリーペーパー 【PeaceMedia】
 京都の市民運動・イベント情報
郵便口座番号: 00910-6-316096
郵便口座名称: ピースメディア

トップページ > TOPICS・コラム・連載 > 「かげもん」 > 「考える試み。」 第3回

 『京都というまちを考える試み。』
  第3回 都市の変貌 「ジュニア京都検定」を解体セヨ

【PeaceMedia】


第3回PDF版 :

  数日前、大阪の鶴橋を歩いた。鶴橋と言えばコリアンタウンというイメージも
  浮かぶが、実をいうと、そのイメージは最近つくられたものである。つい数年前
  まではちょっとしたコリアンタウンという雰囲気だったが、数日前訪れたときは、
  ものすごく韓国韓国した雰囲気になっていて、観光客が溢れていた。
  ニューカマーの店が圧倒的に増え、韓国語訛りの店員の日本語が響いていた。
  コリアンタウンという、一つのイメージがマスメディアを通して爆発的に拡大した
  結果、都市がイメージを追うように変貌したのだと思う。

  鶴橋はもともと近鉄と城東線(現:環状線)が交わるという地理的条件によって、
  戦後闇市のまちとして発展した。在日朝鮮人の集住地域である猪飼野
  (いかいの:現在この地名はない)は鶴橋からは多少離れている。実は鶴橋の
  まちがコリアンタウンとイメージされるようになったのは、ここ20年くらいの
  ことである。このあたりの詳細は藤田綾子の『大阪「鶴橋」物語 ごった煮
  商店街の戦後史』(現代書館:2005)という良書にゆずるが、都市のイメージ
  と歴史がかけ離れている場合が多い。

  では、京都の現在はどうだろうか。京都には歴史があるし、様々な文化財が
  ある。私たちがそれらに対して浮かべるイメージと歴史的事実が合致している
  だろうか。おそらく、私も含めて、それらの歴史を喋れるほど知っている人は
  少ないと思う。それはそれでいいと思うが、現在京都ではイメージの押し付けが
  強行されようとしているのだ。大問題である。その問題であるのが「ジュニア
  京都検定」(ジュニア日本文化検定)である。詳細は【PeaceMedia】にも
  載せられているのでそちらにゆずるが、京都のいいイメージばかりを押し付ける
  内容である。全く綺麗な都市として、しかも天皇が長く京都にいたことなどを
  強調することにより、子どもに誇りを持たせようとする検定である。そのような
  もの、つまり「汚い部分」の歴史を覆い隠したものを教えるとはどういうことなの
  だろうか。一つのイメージを押し付けられた都市の完成を企んでいる人たちが
  京都にいるのだ。
   まちは、私たちのイメージや活動によって変化させなくてはならない。行政や
  教育によってまちのイメージをつくりあげられたとしたら、そこは私たちのまち
  なのだろうか。さらにそれを義務教育で行うことも憤慨である。

   都市のイメージが、勝手に役人や財界人たちによって義務教育を通して
  つくりかえられようとしていることに対して、少なくとも私は怒っている。
  私たちは現在、「ジュニア京都検定」を阻止することによってこそ、新たな
  都市空間を夢想できるだろう。


 構成:【PeaceMedia】/(C)かげもん 2006年9月記 :



第2回に戻る ≪ 「考える試み。」 ≫ 第4回に進む

こちらは【PeaceMedia】 の特設サイトです。
連載者+αをご紹介しています。
▲ かげもん『考える試み。』 トップに戻る

▲このページの先頭に戻る